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Pianist & Singer songwriter 大川 紗智子が綴る 日々の出来事☆


by slowly-blog

勘三郎さんのこと

2012年はいろいろあったけれど、

中村勘三郎さんが亡くなったことはまだ信じられません。


私にとっては、歌舞伎は青春であり、勘三郎が勘九郎さんだった時によく観に行きました。

大学の授業をこっそり抜け出して歌舞伎座に行ったこともあり、

花道やおしろいの香り、舞台の熱気にいつもうっとり、ドキドキしていました。


勘三郎さんが演じると、難しい演目でも親しみ易くなり、

特に大好きな坂東玉三郎さんとの共演はとても素晴らしいものでした。

『鰯売恋曳網』など、思い出すと、今でもすぐそこに歌舞伎座の舞台が広がるようです。

いつも「あぁ、今日も歌舞伎を観にきて良かったな」、とほっこりした気持ちで帰路に着いたものです。


平成中村座も、初演の時に浅草の中村座で観劇しました。

観劇料が3万円と高く、さすがに手が出ないなぁと思っていた当時学生の私に、

「滅多に観れるものじゃないんだから行ってらっしゃい」と、母が切符を買ってくれました。母も粋な人です。

お陰で隅田川沿いに建った、江戸風の芝居小屋、満員の中村座で、

当時勘九郎さんだった勘三郎さんの『法界坊』を観ることが出来ました。

宙釣りで、勘九郎さんが、2階席の私のすぐ目の前まで来て、ほんとうにダイナミックで面白くて、びっくりしたなぁ。

来ていたお客さん達も粋だったのが印象的でした。
みんな歌舞伎を愛しているんだというのがひしひしと伝わってきました。


近年は闘病生活で辛そうな勘三郎さんの姿もTVで拝見していたので、

その辛さから解放されたんだと思うと、心が少し救われます。

太く短く、人生を突っ走って行かれたんだなぁ、と。

きっと天国では美味しいお酒を飲んで、楽しく歌舞伎談義でもしているのかな。


素晴らしい舞台の数々の思い出と共に、

勘三郎さんはこれからも私たちの心の中で、生き続けてゆくことでしょう。

もし伝えられるなら、沢山の感動をどうもありがとうございます、とお伝えしたいです。

分野は違えど、同じ芸の道を歩んでいるものとして、
私も勘三郎さんのような情熱を忘れず、これからも邁進してゆきたいと思います。

どうぞ安らかにお眠り下さい。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
by slowly-blog | 2012-12-27 14:52 | Culture